2024.12.27
コーディング
WordPressを別サーバーに引越しする手順とは?サーバー移転の方法や注意点も解説

WordPressで構築されたサイトを別サーバーに移転する場面は珍しくありません。サーバーを変更することで、サイトの表示速度が向上したり、容量や機能の制限が解消されたりと、パフォーマンス改善が期待できるためです。
ただし、WordPressのサーバー移転作業は簡単ではなく、データの消失やサイトの不具合など致命的なトラブルが発生する可能性もあります。特に初心者の方は、慎重な作業と正確な手順が欠かせません。
この記事では、コーディング代行会社のコーディングアーミーが、WordPressを別サーバーに引越しする具体的な手順と注意点を解説します。サーバーの移転を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
WordPressとサーバーの関係
まずは前提知識として、WordPressとサーバーの関係について知っておきましょう。
「サーバー」とは、Webサイトのデータを保存し、それを訪問者にインターネット上で表示させるための仕組みです。一般的には、XserverやConoHa、さくらインターネットなどのホスティング会社からレンタルされており、利用者は必要に応じてレンタル先を自由に選べます。このレンタル先を変更することが、「サーバーの引越し」と呼ばれる作業に該当します。
一方、「WordPress」はWebサイトを構築・管理するためのコンテンツ管理システム(CMS)で、レンタルしたサーバーにインストールして使用します。
そして、Webサイトの「住所」にあたるのが「ドメイン」です。このドメイン名とサーバーが紐付けられることで、WordPressで作成したWebサイトがインターネット上に公開され、訪問者が閲覧可能になります。
ここまでの情報を整理してみましょう。
WordPress | Webサイトを作成・運営するためのシステム |
サーバー | WordPressの設置場所 |
ドメイン | Webサイトをインターネット上で識別する名前 (サーバーと紐づける) |

つまり「WordPressを別サーバーに引越す」ということは、次のような作業を実施するということです。
- 旧サーバーから新サーバーに、WordPressデータを移行する
- ドメイン(例:example.com)を、旧サーバーではなく新サーバーと紐づける
この2つの作業を実施することで、新しいサーバー上でWordPressサイトを公開できるようになります。

サーバー移転(WordPressの引越し)を検討するケース
サーバー移転(WordPressの引越し)を検討する場面としては、次の3パターンが挙げられます。
- Webサイトの表示速度を改善したい
- 既存サーバーの容量が足りない
- 既存サーバーのコストが高い
これらの課題を抱えている場合は、サーバー移転を検討する価値があるでしょう。
Webサイトの表示速度を改善したい
Webサイトの表示速度は、ユーザーエクスペリエンスやSEOに大きな影響を与える重要な要素です。表示速度が遅いサイトは、ユーザーが途中で離脱しやすく、検索エンジンの評価も低下する可能性があります。
SEO|検索エンジン最適化(Search Engine Optimization) 検索エンジンで上位表示させるための施策。 |
表示速度を左右する要因は複数ありますが、サーバーのスペックはその中でも大きな影響を及ぼします。たとえば、既存サーバーが低スペックの場合、リクエスト処理が遅れ、ページ表示までに時間がかかることがあります。
このような課題がある場合は、より高性能なサーバー(処理速度が速いサーバー)に移行することで、ページ表示速度を大幅に改善できる可能性があります。特にアクセスが集中するタイミングや、大規模なWebサイト運営を予定している場合には、新サーバーへの移転が有効です。
既存サーバーの容量が足りない
WordPressサイトを長期間運営していると、投稿記事や画像、動画などのファイルが蓄積し、サーバー容量が不足することがあります。
サーバーの容量が限界に達すると、新しいデータをアップロードできなくなったり、定期的なバックアップが取れなくなったりするため、運営に支障をきたします。このような場合、よりストレージ容量の大きいサーバーへの移行が必要です。
また、今後のコンテンツ増加を見越して、早めに容量に余裕のあるサーバーに切り替えるケースも少なくありません。将来の運営計画を考慮し、適切なタイミングで移転を検討することが重要です。
既存サーバーのコストが高い
サーバーのレンタル費用は、利用しているホスティング会社やプランによって異なります。既存サーバーのコストが高いと感じる場合、よりリーズナブルな料金で提供されているサーバーへの移転を検討するのも一つの方法です。
ただし、価格だけで選ぶと、表示速度の低下や容量不足といった問題が発生する可能性があります。移転先を選ぶ際には、コスト面だけでなく、サーバーの性能や安定性、容量などのパフォーマンス面も十分に考慮することが重要です。
移転先サーバーを選ぶ3つのポイント

移転先サーバーを選ぶ際には、次の3つのポイントを考慮することが重要です。
- 性能
- 操作性
- 料金
それぞれどのような点を意識すべきか、詳しく見ていきましょう。
1.性能
まずはサーバーの性能を確認しましょう。チェックすべき主な要素は次のとおりです。
要素 | 概要 |
---|---|
SSD | データストレージのこと 300GB~400GB程度あると望ましい (大規模サイトなら 500GB) |
vCPU(Virtual CPU) | 物理的なCPUを仮想的に分割して作成した仮想的なCPUコア 6コア~8コア以上あると望ましい |
メモリ | RAMのこと メモリが大きければ、サイトの表示速度・安定性が増す 大きければ大きいほど望ましい |
2.操作性
管理画面の使いやすさは、移転先サーバーを選ぶ際に見逃せないポイントです。
WordPressサイトの設定だけでなく、Webメールやファイルマネージャーの操作が直感的でわかりやすいホスティング会社を選ぶことで、日常の運用やトラブル対応がスムーズに進みます。特に初心者の場合は、シンプルでわかりやすい管理画面があるサーバーを選ぶといいでしょう。
3.料金
月額固定制のサービスは、主要なホスティング会社間で大きな料金差は見られません。ただし、AWSなどのように従量課金制を採用しているサービスも存在します。
AWS(Amazon Web Services) Amazonが提供するクラウドコンピューティングサービスのこと。 |
月額固定制のサーバーはコスト管理がしやすい一方、スケーラビリティに優れているのは従量課金制のサーバーです。
たとえば、Webサイトが大きく成長する見込みがあったり、アクセス数が月ごとに大きく変動したりするような場合には、従量課金制のサーバーを選ぶことを検討してみてください。
WordPressを別サーバーに引越しする手順

それでは、WordPressを別サーバーに引越しする手順について見ていきましょう。基本的な流れは以下のとおりです。
- 新サーバーの契約
- 新サーバーにドメインを追加
- 旧サーバーのサイトデータを新サーバーに移行
- SSL化対応
- 新サーバー上でWordPressの動作確認
- ネームサーバー変更
- 旧サーバーの解約
各ステップごとの注意点や、WordPressの引っ越しをスムーズに進めるためのポイントについて詳しく解説します。
1.新サーバーの契約
まずは、移転先となるサーバーを契約しましょう。
契約開始時点から料金が発生するため、移転作業を開始する数日前に契約するのが理想です。契約が早すぎると費用が無駄になり、遅すぎると作業に支障をきたす可能性があるため、タイミングに注意してください。
2.新サーバーにドメインを追加
次に、新サーバーに移転するサイトのドメインを追加します。一般的なレンタルサーバーの管理画面には、「ドメイン設定」や「ドメイン追加」といった項目があるため、そこから設定しましょう。
なお、冒頭で紹介したように、WordPressを別サーバーに引越すには「ドメイン(例:example.com)を旧サーバーから新サーバーに紐づける」必要があります。
ただし、この「新サーバーにドメインを追加する」という作業だけでは、ドメインと新サーバーが完全に紐づいたわけではありません。紐づけが完了するのは、この後のステップで「ネームサーバー」を変更してからになるため、注意してください。
3.旧サーバーのサイトデータを新サーバーに移行
ドメインを追加したら、旧サーバーのサイトデータを新サーバーに移行します。
基本的には、旧サーバーにあるWebサイトのバックアップデータを取得し、新サーバーへアップロードすれば移行が完了します。ただし、データを移行する方法にはいくつかの種類があるため、後ほど詳しく解説します。
なお、データをエクスポートした後に旧サーバーのデータを変更すると、新サーバーに移行したデータが古いものに戻る可能性があります。このため、移行中は旧サーバーのデータを変更しないよう注意が必要です。
新サーバーへのアップロード方法については、ホスティング会社ごとに手順が異なる場合がありますが、一般的にはFTPソフトを使用して設定を行い、ファイルマネージャーからデータをアップロードするケースが多いでしょう。
FTP(File Transfer Protocol) クライアントとサーバーの間でファイル転送するための通信プロトコルのこと。FTPを使用すると、サーバーからファイルをダウンロードしたり、クライアントからファイルをアップロードしたりできる。 |
4.SSL化対応
新サーバーでSSLを適用する場合は、データをアップロードした時点で対応しておきましょう。SSLはWebサイトのセキュリティを強化するだけでなく、SEOの観点からも非常に重要な設定です。
SSL(Secure Sockets Layer) インターネット上でデータを暗号化して送受信するプロトコルのこと。SSLを設定すると、URLの「http」が「https」と表示される。 |
ホスティング会社にはSSL設定用の画面が用意されていることが多いため、契約しているサービスの手順を確認してみてください。
なお、SSL適用には追加費用が発生する場合があるため、事前に料金体系を確認しておくと安心です。
5.新サーバー上でWordPressの動作確認
ここまでの設定を終えたら、新サーバー上でWordPressが正常に稼働するか、動作確認を行います。主なチェックポイントは次のとおりです。
- WordPressにログインできるか
- 記事コンテンツはすべて移行されているか
- プラグインが問題なく動作しているか
- サイトが正しく表示されるか
特に注意が必要なのは、ネームサーバーの変更前に動作確認を行うことです。DNSが切り替わった後で問題が発生すると、サイト訪問者に影響を与える可能性があります。
動作確認をさらに確実にするには、「hostsファイル」を利用しましょう。hostsファイルはローカル環境で「IPアドレス」と「ホスト名」を一時的に関連付ける設定ファイルで、ネームサーバーを変更せずに新サーバーの挙動を確認できます。
ただし、hostsファイルの操作はシステム設定の知識が求められるため、設定に不安がある場合やトラブルを避けたい場合は、代行会社に依頼することをおすすめします。
6.ネームサーバー変更
WordPressの動作確認が完了したら、ネームサーバー(DNSサーバー)を切り替えます。
これまでにも触れたとおり、ネームサーバーとはインターネット上で「ドメイン」と「Webサーバー・メールサーバー」を紐づける役割を果たすサーバーです。ドメイン名を入力すると該当するIPアドレスのサーバーにアクセスできる仕組みが、ネームサーバーによって実現されています。
IPアドレス ネットワーク上のデバイスを識別するために使用される一意の番号。123.145.167.189のような数字が割り当てられている。 |
この時点では、ドメイン(example.com)は旧サーバーのIPアドレスに紐づいています。これを新サーバーのIPアドレスと紐づけることで、ドメインを介して新サーバー上のサイトが表示されるようになります。この作業は「DNSの切り替え」とも呼ばれます。

ただし、DNS設定の反映には即時性がなく、数時間から数日程度の時間がかかる場合があります。この間、一部のユーザーは旧サーバー上のサイトにアクセスしてしまうこともあるため、移行中は変更内容や対応について慎重に確認しておきましょう。
7.旧サーバーの解約
DNS設定が完全に切り替わり、移行作業がすべて完了したら、旧サーバーを解約します。
すべてのデータを新サーバーに移行済みのはずですが、移転後に思わぬ不具合が発生する可能性もあります。その際、復旧に必要なデータが旧サーバーに残っている場合があるため注意が必要です。
移転作業が完了したとしても、旧サーバーはしばらく契約を継続しておきましょう。目安として、1か月程度経過して新サーバーで問題なく運用できていることを確認してから、旧サーバーを解約すると安心です。
WordPressを別サーバーに引越しする方法
WordPressを別サーバーに引越しする方法、つまり旧サーバーのサイトデータを新サーバーに移行する方法としては、次の3つが挙げられます。
- プラグインを使用して移転
- 手動で作業して移転
- 代行業者に依頼
どの方法を選んだとしても、前述した全体の移転手順(新サーバー契約、ドメイン追加、データ移行、SSL設定、動作確認、DNS切り替え、旧サーバー解約)は変わりません。
ただし、それぞれの移転方法にはメリットとデメリットがあるため、ニーズや状況に応じて適切な手段を選ぶことが重要です。以下に、各移転方法の詳細を解説します。
プラグインを使用して移転
WordPressのプラグインを使用すれば、比較的スムーズにデータをエクスポートできます。よく使用されるプラグインとして「All-in-One WP Migration」があります。

画像出典:All-in-One WP Migration and Backup
まず、移転元のWordPress(旧サイト)にプラグインをインストールし、有効化します。有効化すると、WordPressのダッシュボード左側メニューに「All-in-One WP Migration」という項目が追加されるため、そこで「エクスポート」をクリックし、データを取り出します。このとき、エクスポートするファイルを選択できますが、基本的にはすべてのデータをエクスポートするのがおすすめです。
次に、移転先のWordPress(新サイト)にも同じプラグインをインストールします。今度は「All-in-One WP Migration」メニューから「インポート」を選択し、先ほどエクスポートしたデータを取り込みます。
これで旧サイトのデータを新サイトに移行する作業が完了です。プラグインを活用すれば複雑な作業を避けられるため、初心者にも適した方法といえるでしょう。
手動で作業して移転
プラグインを使わず、手動で作業して移行する方法もあります。この方法は、たとえばプラグインでは移行できないカスタマイズした内容がある場合に適しています。
手動で移行する際には、「phpMyAdmin」や「FTPソフト」といったツールを使用します。具体的には、旧サーバーからWordPressファイルとデータベースを手動でコピーし、それらを移行先のサーバーにアップロードする流れです。
ただし、これらの作業は正確性が求められ、エンジニアとしての基礎知識が必要となります。誤った操作をするとデータが破損する可能性もあるため、専門知識がない場合は代行業者への依頼を検討しましょう。
代行業者に依頼
プラグインや手動での移行が難しいと感じる場合は、代行業者に依頼するのも一つの手です。
代行業者は、プラグインを使用する方法や手動での移行作業を含め、最適な方法でWordPressを移転します。これにより、専門知識がなくても作業を丸ごと任せられるため、安心してWordPressの引越しを進められるでしょう。
コーディングアーミーでは、WordPressのサーバー移転を丁寧にサポートしており、ご不明点についてもいつでもご相談いただけます。
自分でWordPressのサーバーを移転させるときに生じる3つのリスク・注意点

さて、ここまでWordPressの移行手順について解説しましたが、自分でサーバー移転を進める場合は、以下のようなリスクや注意点が伴います。
- データの消失
- 移行漏れの発生
- 各種設定のミス
これらのリスクについて、詳しく見ていきましょう。
1.データの消失
サーバー移転作業中にバックアップを取り忘れたり、データの一部を誤って上書き・削除してしまったりすると、サイトデータが失われるリスクがあります。
バックアップを取っていれば復旧可能ですが、このバックアップが適切に作成されているかどうかを判断するためには、一定の専門知識が必要です。
移転作業中にデータが消えてしまう可能性がゼロではないことを、あらかじめ理解しておきましょう。
2.移行漏れの発生
一口に「WordPressを別サーバーに引越す」といっても、移行すべきデータには記事コンテンツだけでなく、テーマ情報やプラグイン、メディアファイル、データベースなどが含まれます。
たとえば画像ファイルやカスタムコードが移行されなかった場合、新サーバーでWebサイトの一部表示が崩れるといった問題が発生することも珍しくありません。
移行漏れを防ぐためには、すべてのデータをしっかりと確認することが重要です。
3.各種設定のミス
WordPressの引越しに伴い、サーバー設定やDNS設定など、さまざまな箇所を正しく設定する必要があります。
これらの設定にミスが生じると、サイトが正しく表示されなくなるほか、セキュリティ面での問題が発生することも。特にDNS設定におけるミスは、致命的なエラーにつながるため注意が必要です。
正確な設定を行うためには、事前に手順を確認し、慎重に作業を進めることが大切です。
サーバー移転を専門業者に頼むメリット
さまざまなリスク・注意点を踏まえると、WordPressのサーバー移転は自分で行うよりも、専門業者に依頼したほうが安心です。次の2つのメリットに魅力を感じる場合は、ぜひコーディングアーミーにご相談ください。
- 準備にかける時間を削減できる
- 失敗する可能性が低い
それぞれ詳しく紹介します。
準備にかける時間を削減できる
WordPressを別サーバーに引越しするためには、データのエクスポートやバックアップ、ドメイン周りの状況整理など、多くの準備が求められます。
これらの作業をWordPressやサーバー、ドメインに関する知識がない状態で進める場合、相当の時間と労力が必要です。
専門業者に依頼することで準備段階の負担を軽減し、サーバー移転にかかる時間を大幅に削減できる点は、非常に大きなメリットといえるでしょう。
失敗する可能性が低い
自分でWordPressを移行する場合、データ消失や設定ミスなど、予期せぬトラブルが発生するリスクがあることは否めません。
一方、専門業者に依頼すれば、適切なバックアップを取得し、移行手順を熟知したプロが作業を進めるため、失敗のリスクを大幅に抑えられます。また、万が一トラブルが発生した場合でも、バックアップデータを活用して迅速に復旧できる点も安心です。
安全にサーバー移転するためにも、ぜひ専門業者に相談してみてください。
まとめ
WordPressを別サーバーに引越しする手順は、次の2つに集約されます。
- 旧サーバーから新サーバーに、WordPressデータを移す
- DNSを切り替える
一見簡単そうに見えますが、これらの作業にはデータ移行漏れや設定ミスなどのリスクが伴います。特にバックアップの有無やDNS設定の精度は、移行の成功を左右する重要なポイントです。万が一トラブルが発生しても、適切なバックアップと対応策があれば復旧は可能です。
とはいえ、初めての移行作業や時間的余裕がない場合は、専門業者に任せるのがおすすめです。プロに依頼すれば、準備にかかる時間を削減できるだけでなく、失敗のリスクも最小限に抑えられます。
コーディングアーミーでは、WordPressのサーバー移転をスムーズかつ安全にサポートしています。WordPressの引越しを検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。